よっつめのはなし/忘れの森の宝物 05

 考古学者を先頭に、ルーノ・ニーフたちが忘れの森に向かって歩いている途中、ジャマーがルーノに言いました。
「宝があるって話、本当だと思うか?」
「だってあの本に書かれていた事はみんな中っていたじゃないか」
 するとジャマーはルーノ・ニーフを指さして言いました。
「よく考えてみろよ。あのおっさん何て言った?指輪のまじんのこと」
「えーと…忘れちゃった」
「こう言ったんだ。光る石から出てきたやつが世界を支配する」
「だからそれがまじんのことでしょ?」
「そこじゃねーよ!まじんは世界を支配したのか?」
「あっ!」
 魔人は今、長老の家の鍵のかかった箱の中で、指輪の中に戻っているはずです。
 ルーノ・ニーフが知らない昔に、世界を支配していたのでしょうか?それとも、これからまた指輪から出てきて、予言の通りになってしまうのでしょうか…?
「そういえば竜の国が滅ぶとも言ってたモル」
 もちろん、竜の国は滅んでいません。
「やっぱりあいつ、インチキくせーぞ」
 ジャマーが、考古学者には聞こえないように言いました。
「でもナユタ湖の事は本当だよね」
 ルーノが言うと、
「でもなんかわかりにくい予言だから、本当にまじんや、竜の国の事を言ってるのかわからないモル」
 モッちゃんが、地面からちょっとだけ顔を出しながら答えました。
「うーん、やっぱりあやしいぜ」
 ジャマーはあやしんでいましたが、突然、
「オレは降りるぜ」
 と言って、引き返そうとしました。それを聞きつけた学者が、
「おや、帰るのかね?」
「宝があるなんてうそだ」
「それは残念。宝を見つけたら、協力してくれたお礼に、みんなにも分けてあげようと思ったのだが…」
 そして、ルーノ・ニーフたちに向かって言いました。
「君たちはもちろん一緒に来てくれるだろう?」
 ルーノ・ニーフは迷っていました。
「君たちの力が必要なんだ。私に協力してくれないか。お願いだ」
 熱心にお願いされ、結局ルーノとモッちゃんは忘れの森に行くことにしました。
「さあ。おくびょう者は放っておいて行こう」
 考古学者たちが行ってしまった後も、ジャマーはくやしそうにその場に立っていました。
「ジャマー…」
 イタズラーとズールが心配そうに声をかけてきました。
「今日は解散!」
 怒ったようにそう言うと、ジャマーはひとりで帰ってしまいました。