ふたつめのはなし/指輪の魔人 07
「うわ―――――ん!アタシ、魔人に食べられちゃうんだ――!」
魔人を指輪に戻すと、リーサは大声で泣き出しました。
「最後に寝たのは3年前だって言ってたし―っ」
「その時は15分くらい寝過ぎたからまだまだ全然眠くないって言ってたね…」
ルーノの言葉にリーサはますます大声で泣いてしまいました。
「もう願い事もしませ――ん!わがままも言いませ――ん!だから指輪を外して―――!!」
「大丈夫じゃよ。魔人を眠らせてしまえばよいのじゃろ?」
長老がリーサをなぐさめながら言いました。
「そんな事できるの?」
リーサがききました。
すると長老は、ちょっと待ってなさい、と言って、部屋を出ていきました。そして、しばらくすると、小さなびんを持って戻ってきました。
「ピニョ?」
「これはネームリの葉をせんじてつくった媚薬じゃ。これを飲めばどんな生き物でもす――ぐに眠ってしまうわい」
「でも魔人飲むかなあ」
リーサは心配そうです。
「わからないけどやってみよう」
ルーノが言いました。
媚薬は粉なので、ひとつめは紅茶に入れて、もうひとつは粉をまぜた生地でパンを焼きました。作業は外が暗くなり始めるまでかかりました。
そして準備はできました。
「まじ―――ん!出てきて―――!」
リーサが指輪に向かって呼びかけました。光の中から魔人が姿を現しました。
「願い事か?」
「ううん。まじんを食事に招待しようと思って」
すると魔人は言いました。
「私はおまえたちが食べるようなものは食べない」
「えー?おいしいから食べてみてよ」
リーサはパンをさしだしました。
「わかった。食べよう」
魔人はパンを口に放り込みました。
「うむ。なかなかうまい」
そう言ったとたん、魔人はドーンとうしろにひっくりかえってしまいました。そしてぐうぐうといびきをかきはじめたのです。
「やったあ!大成功!」
ルーノたちは大喜び。
「これでひと安心じゃ。さあ。今のうちに指輪を外してしまおう。そうすれば、かじられた魂ももとに戻るじゃろう」
「うん」
うなずいて、リーサは指輪をひっぱりました。でも指輪は抜けません。
「あれ?なんで?」
すると、ピニョが魔人を指さして騒いでいます。
「どうしたのピニョ」
そしてルーノは魔人を見ておどろきました。なんと魔人は目を開けて眠っているのです!
ルーノは何とかして魔人の目を閉じさせようと、まぶたをひっぱってみましたが、魔人のまぶたはぴくりとも動きません。
すると急に魔人がむくりと起き上がりました。
「おまえたち、私を眠らせて指輪を外そうとしたな。ゆるさない」
次の瞬間、魔人の手のひらから小さな雷がとび出してきて、テーブルの上の花びんを粉々に砕きました。
ルーノたちは魔人を怒らせてしまったのです!
でも、ここにもう一人、いえ三人、とても怒っている人たちがいました。
「でてこーい!まじーん!」
ジャマー一味です。ジャマーたちは、魔人に仕返しをするために、自らがつくったジャマシーンに乗ってやってきたのでした。
すると、イタズラーが長老の家にいる魔人を見つけました。
「あそこだ!」
「よーし待ってろよまじん。このジャマシーンの威力を思いしらせてやる」
そう言うと、ジャマーはジャマシーンを長老の家へと向かわせました。
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