ふたつめのはなし/指輪の魔人 05

「いったいどうしたのじゃ」
 ソファにリーサを寝かせると、長老がたずねました。
 ルーノは、虹の泉で指輪を拾ったこと、リーサがそれをつけたら抜けなくなっちゃったこと、指輪から出てきた魔人のことなどを話しました。
「うーむ…その魔人はひょっとすると…」
 そう言って長老は本がたくさん並んでいる棚を調べはじめました。そして一冊の古そうな本を手に取り、ページをめくっていきました。
「やはりそうか。…リーサが倒れたのはその魔人のせいじゃ」
「どういうこと?」
「ピニョ?」
「これを見るがよい」
 そう長老は言って、広げたページをルーノたちに見せました。その本には小さな文字がたくさん書かれていました。
「むずかしくてよくわかんないよ」
「ここにはこう記されておる。『指輪の魔人』と」
「ゆびわのまじん!まじんも言ってたよ。私はゆびわのまじんだ、って」
「ピニョ!」
「その指輪はつけると外れなくなると書いてあるが…」
「そうなんだ。どうやっても外れないんだよ」
 長老はうーんとうなりながらページをめくっていきました。
「指輪を早く外さないと大変なことになる」
「大変ってどんな?」
 長老は長い間だまっていましたが、やがてゆっくりと言いました。
「魔人に魂を喰われてしまうのじゃ」
「ええっ!リーサ食べられちゃうの?そんなのやだよ!」
「ピニョ!ピニョ!」
 ルーノもピニョもびっくりして大声でさけびました。
「すでにリーサは魂を魔人にかじられているようじゃな。だから気を失ったのじゃ」
「目は覚ますの?」
 ルーノは心配でたまりません。
「……わからん」
 長老はくやしそうに言いました。
「長老!リーサをたすけてあげて!…リーサ!ねえ起きてよ!」
 ルーノはリーサに何度も何度も呼びかけました。けれどリーサはぴくりとも動いてくれませんでした。すると、じっと本を読んでいた長老が突然大きな声をあげました。
「あった!あったぞ!指輪を外す方法が!」