ふたつめのはなし/指輪の魔人 03

「ねえリーサ、ひとつだけ…」
 ルーノが言いかけた時、リーサが魔人に質問しました。
「まじん、あなたがこの指輪の持ち主?」
 そういえば、指輪の持ち主を探していたのをすっかり忘れていました。
「ちがう」
 魔人が答えました。
「じゃあ誰?」
「今はあなたのものだ」
「ええっアタシ!?本当に!?」
 リーサもおどろいた顔をしています。
 でもルーノ・ニーフは気になってききました。
「前の持ち主は誰だったの?どうして水の中に沈んでたの?捨てられちゃったの?」
 でも、願いを叶えてくれるこんなすごい指輪を捨てる人がいるでしょうか?
「捨てられたのではない」
 魔人のその言葉をきいて、ルーノは思い出しました。そうだ!この指輪は外すことができないんだった!するとそこで新たな疑問が浮かんできました。前の持ち主はどうやって指輪を外したんだろう?
『ご主人様の命がある限りは』
 魔人の言葉が再びよみがえってきました。いやな予感がずん、と音をたてて大きくなったような気がしました。
「まあそんなことどうでもいいじゃん。今はアタシのものなんだしさ」
 リーサは気楽なものです。
「指輪の持ち主探しはもう終わりか。つまんなーい」
 とリーサは言いましたが、言葉とは反対にうれしくてたまらない表情をしています。
「用があったら呼ぶからさ、指輪の中に戻ってていいよ」
「かしこまりました」
 そう言うと、魔人は指輪の中に吸い込まれるように入っていきました。
「やったー。いいものもらっちゃった」
「ピニョ!ピニョ!」
「なによ。しょうがないでしょ。たしかに見つけたのはピニョだけどさ。あげたくてもこれ取れないんだもん。ゆるしてよ。いっぱい願い叶えてあげるから」
「ピニョ~」
 ピニョはまだ怒っています。

 そして、そんな様子を木のかげから見ているものがいました。さっきのやつです。そいつは、ルーノ・ニーフとピニョのあとをずっとつけてきたのです。そいつは言いました。
「計画第二段階終了。指輪はリーサという少女がつけたもよう。ひきつづき監視を続けます」