ふたつめの話 「指輪の魔人」
ふたつめのはなし/指輪の魔人 01
みはらし山から流れおちるキララ滝は今日もキラキラ輝いています。
ルーノ・ニーフは滝のそそぐ虹の泉でピニョと遊んでいました。水の上にうかんでいるといい気持ちです。空をとべたらきっともっと気持ちいいんだろうなあ。
すると、水の中に潜っていたピニョが、水面に顔を出しました。
「ピニョ!」
ピニョはそう言って、空をふわふわただよいながらルーノの方へ近づいてきました。泳ぐのが得意で空もとべるピニョのことを、ルーノはちょっぴりうらやましくおもいました。
「どうしたんだい?ピニョ」
そう聞くと、ピニョは「ピニョ!」と言って、また水の中に入っていきました。ルーノ・ニーフも水の中をのぞいてみると、ピニョの向かう先に小さく光っているものが見えました。ピニョはそれをくわえて戻ってきます。見ると、それはきれいな指輪でした。
「どうしてこんなところに指輪が?誰かが落としたのかなあ」
ピニョは指輪を落として、またまた水の中へ取りに行ってをくりかえしています。
「よし!落とし主をさがそう」
ルーノ・ニーフたちはガルバリドゥリサーナに向かうことにしました。
でも、その様子を草のしげみからじっと見つめている黒いかげがありました。
「計画第一段階成功」
街に向かう道の途中でルーノたちはリーサに会いました。リーサはカラサラ砂漠に住んでいるサバーク族の女の子です。
「はあいルーノ、はあいピニョ」
「やあリー…」
「わあっキレイ!それ見せて!」
ルーノ・ニーフがあいさつをしないうちに、リーサはルーノをおしのけて、ピニョのくわえている指輪に夢中です。
「これ誰の?」リーサがききました。
「わからないんだ。落とした人をさがそうと思って」
「へえ!たのしそう!アタシもまぜて」
「いいよ」
「でもどうやってさがすの?」
「うーん…長老のところへ持っていけば何かわかるかもね」
するとリーサが言いました。
「ダメだよ!どうせ指輪を取り上げられるか、交番に持って行けって言うに決まってるもの」
「リーサには何かいい考えがあるの?」
「うーん…そうだ!この指輪に持ち主の手がかりになるようなものがあるかもよ」
そう言ってリーサは指輪をよ------------------------く眺めました。
「それにしてもキレイねえ。ちょっとはめてみようっと」
リーサはピニョの口から指輪を自分のしっぽにはめようとしました。
「リーサのしっぽにはその指輪は入らないよ」
ルーノは言いました。たしかにリーサのしっぽには、この指輪は小さすぎました。
が、その時
指輪のリングが大きく広がってリーサのしっぽにぴたりとはまったのです!
「やったあ!ぴったり!」
リーサは大喜び。
「リーサ!この指輪なんか変だよ!」
ピニョもピニョピニョとさわいでいます。
「…わかったわよ。外せばいいんでしょ」
リーサはしぶしぶ指輪を外そうとしました。けれど、どんなに引っぱっても指輪はぴくりとも動きません。
「あれっ?どうして?どうして抜けないの?」
リーサもあせりはじめました。
すると、どこからか声がきこえてきました。
「おはようございます。私の新しいご主人様」
「誰?」
リーサはあたりをみまわしました。
「ピニョニョ!」
ピニョが指輪を指しています。見ると、指輪が今まで以上に光りかがやいているのでした。指輪の中から光があふれてくるようです。その光はだんだん強まっていきます。
そして・・・
ポン!という音とともにその光の中から何かがとびだしてきました。大きくてピンク色のものが。そしてそいつはこう言いました。
「はじめまして。私は指輪の魔人だ」と。
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