さいしょのはなし/太陽のカケラ 10
「これでよかったんじゃ」
長老が言いました。
「帰ろう」
ジュピはルーノ・ニーフに言いました。
「バイバイ」
ナッフィは湖の底に向かって手を振りました。
ルーノは残念でした。もうすこし力があれば“太陽のカケラ”の火も消さずに済んだのに・・・ルーノは“太陽のカケラ”が沈んでいった湖面を見ながらそう思いました。すると、水面に泡がひとつ浮き上がってきました。ぽこっ。またひとつ。ぽこっ。よく見ると、湖の底がぼんやり光っているのがわかりました。
「長老!みんな!あれ見て!」
ルーノは光を指さしました。
「なんと!信じられん!水の中でまだ燃えとる!」
長老は驚きました。
「早く水の中から出してあげて!」
ナッフィがジュピの手をつかんで言いました。
「いや・・・大丈夫だよ。友達になれたんだ。湖と“太陽のカケラ”は」
それを聞いて、ナッフィの顔に笑顔が戻りました。
湖を見ると、泡の出ていた所が白くかすんでいます。それに気づいた長老はそこまで飛んでいき、ちょこっと湖にヒゲをつけてみました。
「おお!温かい!やっぱり温水じゃ!こりゃいいわい」
そう言って長老は全身湖につかってしまいました。
「長老も友達になったね」
ナッフィが言いました。
「ボクらもさ」
ジュピが言いました。
ルーノには今日、たくさん友達ができました。湖、“太陽のカケラ”、それに、風も。
「また来るからね!」
ルーノ・ニーフたちはさよならを言って湖をあとにしました。
湖から帰る途中、ジャマー一味が立っているのに出会いました。
「よう、何してるんだ?」
ジュピがジャマーに声をかけました。
「うご・・・うご・・・うご・・・」
「じゃあね」
ルーノ・ニーフはそう言ってそこを通りすぎようとしました。すると、ジャマーが泣きそうな声で言いました。
「動けないんだよーう。たーすけてーえ」
ルーノ・ニーフたちは、ジャマーたちのそんな姿を見て、笑いころげました。
そのあとどうしたかって?大変でしたよ。だって、ジャマーたちをかついで山道を下りなくちゃならなかったんですから!
さいしょのはなし 太陽のカケラ おしまい
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